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「お知らせ」「THE WORLD FOLIO」公式サイトにインタビュー記事が掲載されました。(2021-06-18)

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インタビュー記事

 

 

インタビュー記事和訳

 

「大手自動車部品メーカー、ファクトリーオートメーションでもモジュール化の先駆者に」
近藤茂充 氏
近藤製作所 代表取締役社⾧


近藤製作所は、自動車メーカーに自動車部品を供給するだけでなく、自動車、食品、医療、半導体など、
幅広い産業分野でFA(ファクトリーオートメーション)やロボット機器を開発している。近藤製作所は、
トヨタグループをはじめとする多くの企業に部品やロボット機器を提供しており、トヨタの「ものづく
り」と「カイゼン」の考え方を取り入れている。


日本、タイ、アメリカにあるFA 機器を備えた最新鋭のスマート工場で、スピード、正確性、効率性を
追求し、最高の品質と性能を備えた製品を生み出している。


代表取締役社⾧の近藤茂充氏に、同社の歴史や現在の技術、今後の計画などを聞いた。

 


Q: まず最初に、日本のものづくりの精神や哲学についてお伺いしたいと思います。
日本では、製品を完璧に仕上げるためのあくなき追求と、細部への徹底したこだわりがあり、それが「モ
ノづくり」と呼ばれていることを私たちは知っています。しかし、最近のモノづくりは単なる職人技では
ないこともわかっています。
お客様の様々なご要望にお応えし、お客様のご要望に沿った付加価値を提供することが必要になってき
ています。あなたが考えるモノづくりの本質とは何でしょうか?


A: 私たちが考えるモノづくりの本質とは、お客様の立場に立って考えることです。
当社はその歴史の中で、その時代に必要な機械を提供してきましたが、その中には今は作っていない、例
えば製粉機やうどん製造機もあります。
これらの機械は戦後、食糧難の時代に作られたものです。私たちには、人々に簡単に食料を提供する機
械を作るというビジョンがありました。また、創業者が肺病で入院した際、医師からの依頼で作った「人
工気胸装置」は、特許庁から表彰されました。
当社のスローガン「お客様の多様なニーズを具現化する」は、これらの経験をベースに作られたもので
あり、先に述べたように、お客様の立場で考え、当社の技術によってお客様の要求を満たすという当社の
ビジョンを含んでいます。

 


Q: ここ数十年の日本の製造業を見てみると、規模の経済を活かして低価格で製品を製造できる韓国、台
湾、中国などのメーカーとの厳しい地域間競争がありました。このような競争に打ち勝つために、日本の
中小企業、あなたのような中堅企業は何をすべきだと思いますか?


A: 持続可能なビジネスのためには、コストを下げることと、価値を高めることです。
私は後者が重要だと考えています。もちろん、コストを下げる努力はすべきですが、世の中には無限のニ
ーズがあります。そのため、お客様が必要とする価値を提供し続けることが、ビジネスを持続させるため
には重要になってきます。
この条件を満たすためには、2 つの重要なポイントがあります。お客様のニーズの本質を見極め、それを
具現化するための技術レベルを高めること。細かなニーズに対応することは、柔軟に動ける中小企業が
得意とする仕事だと考えています。

 


Q:ファナックの稲葉さんにお話を伺ったところ、ロボットやFA(ファクトリーオートメーション)に
ついて、とても興味深いことをおっしゃっていました。
工場の自動化は、ロボットが人間に取って代わると言われるように、悪評が多いとのこと。しかし彼は、
FA は人間の労働力を補完するものであり、営業や研究開発など他の分野のための人材を増やす手段であ
り、その結果、人間のスキルアップにつながると考えています。
工場のラインにロボットを導入することについて、特に日本のように人口が減少している国では、どの
ようにお考えですか?


A: ファナックの稲葉さんの意見に賛成です。既存の仕事を自動化することで、企業は新たな付加価値に
挑戦することになります。
当社の創業者は、「麻雀をしている間に生産できる工場を作りたい」という冗談を言っていました。ロボ
ットを使うことで生活が楽しくなり、自分の好きなことに時間を使えるようになるというビジョンを持
っていたのです。

 


Q: 御社はおおよそ4 つの分野に関わっています。
1) 多軸ロボットやストッカーなどの周辺機器によるファクトリーオートメーション 2) 空圧グリッ
パー、オートツールチェンジャー、ロボットアクセサリー製品などのオートメーションコンポーネント
3) スマートファクトリーの研究開発 4) 自動車部品 主な製品の概要、その中で最も売れている製品を
教えてください。


A: 当社の主力製品はファクトリーオートメーションとロボットアクセサリーですが、当社の発展の基礎
となった自動車部品も重要な分野です。
競争の激しい自動車部品業界で生き残るために、私たちは競争力を高めるために多くの努力をしていま
す。製造工程のファクトリーオートメーション化、品質や管理の自動化を目指したスマートファクトリ
ー化、FA 設計を容易にするモジュール化されたロボットツールの開発などです。
当社の発展は、自社の自動車部品部門の発展と呼応しています。

 

 

Q: お客様が御社の製品をどのような用途で使用されているのかを教えてください。それは、多品種生産、
少量生産、大量生産のいずれでしょうか?
また、どのような企業が貴社の空圧グリッパーや自動化システムを使用しているのでしょうか?


A: 私たちのポリシーは「お客様の多様なニーズを具現化する」ことです。お客様の様々なニーズに向き
合い、それぞれの要望に真摯に向き合うことを選択しています。
シーズ志向のように、特定のターゲットに向けて製品を開発することはありません。
そのような努力を続けてきた結果、空圧グリッパーをはじめとするロボットアクセサリーは1000 種類を
超えました。
当社のロボット用アクセサリーはモジュール化されているため、お客様のアイデア次第で現場でさまざ
まな活用が可能です。例えば、食品業界、医療業界、半導体メーカー、そして何と言っても自動車メーカ
ーなどです。
当社は日本の商習慣である商社経由での販売が中心ですが、当社の製品がどのくらいの業界で使われて
いるのかを詳しく把握しているわけではありません。
ご要望やお問い合わせなど、ユーザーの皆様と直接コミュニケーションをとることで、意外な使われ方
を知ることもあります。

 


Q: 元々は自動車部品メーカーとしてスタートし、必要に迫られて工場の自動化ソリューションを生み出
したのですね。現在の製品ラインアップの中で、どのような相乗効果が生まれているのか、詳しく教えて
ください。


A: 自動車部品ビジネスの競争力を高めるために、私たちは自動化による品質保証、生産性、安定性、ス
ピードの実現を目指してきました。工場を自分たちで自動化できるということは、工場の自動化設計者
と生産管理者が、外部の人間に比べてよりオープンに話ができるということです。 自分たちが抱えてい
る問題をすべてオープンに提示し、自分たちが持っている技術を使えるというのは大きなメリットです。
さらにシナジー効果を発揮するためには、自動車部品部門がどれだけモノづくりに妥協しない姿勢を貫
けるかが重要です。
私たちは、トヨタをはじめとする製造業が盛んな愛知県にいることを幸運に思っています。日本のメー
カーのモノづくりの精神は非常に高く、そのニーズに応えるために自動車部品部門もロボット部品部門
も多くのことを学んできました。また、モノづくりの精神や常識は、お客様ごと、業界ごと、地域ごとに
異なるため、学ぶべきことは尽きません。勉強しなければならないことに終わりはなく、常に学び続けて
います。
また、お客さまのニーズから得た新しい知識、たとえばモノづくりの考え方や技術などを それを自分た
ちのビジネスにフィードバックすることで、社内のさらなる改善につなげることができるのです。

 


Q: 昨年からパラレルリンクロボット用のロータリージョイントを生産していますが、これはロボット内
のパイプと連動してキンクを防ぐものです。この製品について、また、その他の新製品で海外の視聴者に
紹介したいものがあれば教えてください。


A: ロボットが動作しているとき、ロボットに取り付けられているワイヤーやパイプが物に引っかかった
り、取り付けられているワイヤー同士がずれて破損することがよくありますが、ロータリージョイント
はこれらの故障を防ぎます。
また、ティーチングによってロボットが想定している位置からわずかにずれた位置にワークが存在して
いる場合もあり、ロボットが逸脱するたびにティーチングをしなければならないのであれば、自動化と
は言えません。コンプライアンス・デバイスとは、そのずれを物理的に補正するためのツールです。
当社はマテリアルハンドリングだけでなく、ロボットのエンドエフェクター・アームのツールを交換で
きるオートツールチェンジャーなど、お客様がより快適にロボットを使うためのソリューションを提供
するロボットアクセサリーメーカーでもあります。

 


Q: 日本は研究開発の比率が高い国として有名で、GDP の3%が研究開発に投資されていることがわか
っています。貴社が世界最小・最軽量の空圧グリッパーを開発したことも知っています。
貴社の研究開発戦略について、もう少し詳しく教えてください。また、現在取り組んでいる製品の中で、
これだけは知っておきたいというものがあれば教えてください。


A: 当社は中小企業ですので、余分な経費をかけないようにしなければなりません。そのため、既存のお
客様のニーズに基づいて製品を開発し、開発後すぐに販売するようにしています。これにより、研究開発
部門の効率と生産性を高めています。
当社のカタログは、お客様のニーズに応えるための研究開発の積み重ねです。その結果、ロボットを便利
に使いやすくするロボティクスツールは、ハンドリングツールを含めて1000 種類以上になりました。こ
こまで来るには非常に⾧い時間がかかりましたが、これは私たち事業部の努力と知識の蓄積の賜物です。
これからも、そう言われるような会社になるために、自分たちを磨いていきます。"ハンドリングツール
なら近藤に聞け "と言われるような会社を目指して、これからも研鑽を積んでいきます。

 


Q: 日本の企業を見てみると、共創プロセスへの参加や、日本以外の国でのパートナー探しが増えていま
す。一昨年、日本のFA 企業であるファナックは、米国のロックウェル・オートメーション社と提携し、
新しい自動車用システムを生産し、そのシステムについて米国の労働者を教育しました。このような共
同創造の経験や海外でのパートナー探しに興味はありますか?


A: 当社の強みは、柔軟に動ける中小企業であることです。大規模なプロジェクトを海外の企業と共同で
行うと、自分たちの強みを見失ってしまう可能性があります。
そのため、現在、地元の大学やさまざまな企業と行っているように、中小規模のコラボレーションを継続
して行い、開発活動や技術レベルの向上を図っていきたいと考えています。

 


Q: ファクトリーオートメーションの世界的な成⾧を見ると、毎年10%ずつ成⾧し、2025 年には3 億
7000 万ドルに達することがわかっています。人間の労働力を減らし、生産ラインの品質を向上させるこ
とができるので、この市場には大きな可能性があります。ファクトリーオートメーションに携わる企業
として、中期的な戦略と、このFA の成⾧をどのように活かしていくかを教えてください。


A: FA 市場は今後も拡大していくと思いますが、それと同時に、すでに提供されている既存のFA シス
テムのメンテナンス体制を確立する必要があります。当社のFA システムの主なお客様である自動車業
界は、FA の歴史が⾧いため、ほとんどのお客様が自社でメンテナンスチームを持っています。しかし、
FA への期待が高まるにつれ、メンテナンスチームを持たないお客様も増えてくることが予想されます。
FA システムが何らかの理由で停止した場合、多くのお客様はすぐに修理してほしいと考えます。 自動
車のように標準化されたものであれば、整備マニュアルや整備工場ですぐに対応できます。しかし、FA
システムのカスタマイズ化が進み、同じFA システムは2 つとないため、修理するにしてもそれぞれに異
なる対応が必要になります。エンジニアがシステムをよく理解していないと、復旧に時間がかかること
になり、この事実がFA システムへの信頼を妨げることになりかねません。
つまり、メンテナンス体制の整備によって安心感を得ることができれば、より早く世の中にFA を普及さ
せることができるのです。
私たちは、モジュール化によってロボットツールの汎用性やメンテナンス性を向上させることで、FA の
発展に貢献していきたいと考えています。

 


Q: メンテナンスについてですが、自動車業界以外でロボットが普及すればするほど、おっしゃるように
ロボットに慣れていないお客様にはメンテナンスが必要になってきます。そのようなお客様のメンテナ
ンスをサポートする会社と提携することを想定しているのか、それともご自身で行うのでしょうか。

 

A: お客さまの立場からすると、トラブル時にすぐに復旧できるパートナーが身近にいることで、より高
い安心感を得られると思います。また、当社は海外に工場を持っているため、海外でメンテナンススタッ
フを確保することの難しさも経験しています。そのため、全地域に即座に対応できるサポート体制を当
社だけで構築するのは難しいと思います。他社とのパートナーシップも含めて解決策を検討していきた
いと考えています。

 


Q: 1997 年にはタイ、アメリカ、そして2010 年には中国と、日本の枠を超えて展開されていますね。海
外での製販一体体制のメリットについて、もう少し詳しく教えてください。


A: 激しい競争の中で生き残るのは容易ではありませんが、幸いなことに、当社は会社を拡大し、自動車
部品の製造拠点としてタイ、米国、中国に工場を設立することができました。自動車部品業界は、FA 業
界に比べて経済状況による変動が少ないため、安定した経営基盤が期待できます。景気に左右されやす
く、不安定なFA 事業だけでは、海外に工場を持つことは難しかったでしょう。現在は、自動車部品の製
造・販売を事業基盤とし、工場のエンジニアやスタッフを介して海外のFA システムをサポートできる工
場を持っています。

 


Q: 自動車部品メーカーと話をしていると、特にアメリカだけでなく、アジアでも日本製品の需要が拡大
していることを耳にします。インドのような場所では、日本製の自動車部品に対する需要が非常に高く、
Tata 社のような企業はこれに対応するために常にパートナーシップを模索しています。他に事業拡大を
検討している場所はありますか?


A: 正直なところ、まだこれ以上の国をカバーできるだけの人材はいません。さまざまな技術を組み合わ
せて実現するFA には、それを理解したエンジニアが必要であり、そのようなエンジニアを育成するには
多くの時間と労力がかかります。他の地域にも供給しているお客様から依頼を受けることもありますが、
今は中国、アメリカ、タイを中心に、これらの国での実績とブランドを育てていきたいと考えています。

 


Q: あなたの個人的な野心を知るために、最後の質問をします。これは家族経営のビジネスです。2~3 年
後に再びインタビューに来たと想像してみてください。その時までに何を成し遂げていたいか、この会
社の中でのあなたの夢は何ですか?


A: アプローチの仕方は違っても、家族である取締役全員に共通する夢は、当社の社是である「すべての
人の生活を豊かにする」を実現することです。これは、会社の持続的な発展を通じて、会社に関わるすべ
ての人が幸せで満たされることを意味しています。私たちは、ニーズの実現が幸せの実現であると考え、
社内外のニーズに常に向き合い、柔軟に動ける中小企業であることを強みに、この実現を持続・発展させ
ていきたいと考えています。
そのためには、もう一度、基本に立ち返ることに注力したいと考えています。当社には、お客様のご要
望にお応えする過程で蓄積したFA 事業やロボットツール事業の知識や経験があり、それが自動車部門
がカイゼンを繰り返して磨き上げた効率的な生産ラインにつながっています。この蓄積を組み合わせて
工場を建設し、将来的には理想的なロボット生産工場、スマートファクトリーとして展示したいと考え
ています。 3 年後にこの夢を実現することはできないかもしれませんが、この取り組みが当社をより強
く成⾧させてくれると確信しています。

株式会社近藤製作所

〒443-0043

本社 愛知県蒲郡市元町12番1号

0533-68-6156(代)

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